136.いろんな「仕事術」があるんですね【リチウム、生産倍増へ EV電池需要に対応 ?】

豊田通商(名古屋市)が電気自動車(EV)向け電池に使われる炭酸リチウムの生産を二倍以上に増やす。十六日にはオーストラリアのリチウム資源開発会社「オロコブレ」に約二百六十億円を出資し、共同運営するアルゼンチンの生産拠点を拡張する方針を発表した。環境規制などを背景に、EV向けリチウムイオン電池の需要が伸びることを見据え、長期にわたるリチウムの安定供給につなげる。

 第三者割当増資の引き受けなどで豊田通商が二月末までにオロコブレ株の15%を取得し、筆頭株主となる。両社は二〇一二年に合弁会社を設立し、一四年からアルゼンチン北西部のオラロス塩湖畔で炭酸リチウムを生産している。

 オラロス塩湖の水を日干しして炭酸リチウムを取り出していて、現在の生産量は年間一万七千五百トン。今回の出資金を活用し、一九年後半に生産能力を四万二千五百トンに引き上げることを目指す。

 炭酸リチウムは、主にEV向け車載電池の素材に使われ、一七年の全世界の生産量は二十二万トンに上る。豊田通商は、オラロス塩湖で生産された炭酸リチウムの独占販売権を持ち、増産後は世界シェア(占有率)の約二割を握る計算になる。日本や中国、欧米の素材メーカーに販売する。

 自動車業界では、環境規制の強化などを受け、欧米や中国でEV需要が高まるとみられている。トヨタ自動車は三〇年にEVと、水素で走る燃料電池車を合わせて百万台以上を販売する目標を掲げている。

 経済産業省によると、炭酸リチウムの価格は一四年ごろから上昇。一七年末には一トン当たり一万七千ドルと、一四年時点と比べて三倍になったという。豊田通商は増産を通じ、急速に伸びる需要を取り込む考え。

 さらに、豊田通商はオラロス塩湖で生産した炭酸リチウムを日本に持ち込み、より性能が高い「水酸化リチウム」へ加工・販売することも計画する。

 水酸化リチウムは粒子が細かく高電圧にも耐えられるため、走行可能距離など性能向上が進む車載電池の素材として適しているという。約七十億円を投じ、一九年九月から福島県で年間一万トンの生産を目指す。国内生産することで品質管理を徹底し、需要に応じた供給体制を整える。

アールエイチ産業医事務所