ブラザー工業(名古屋市)は二〇一八年度、水素を使った燃料電池の市場に本格参入する。年内に製品化を予定する業務用の燃料電池は、出力を落とさずに長時間発電できる。スマートフォンの普及で需要が急拡大するデータセンターや携帯電話の基地局などの非常用電源として役立つ点をアピールし、受注増を目指す。
小池利和社長が本紙の取材に「今年中には目に見える形にしていく」と意欲を示した。
ブラザーの燃料電池は燃料の水素と酸素を発電に最適な湿度に制御する技術に優れ、他社製品より発電効率が高い点が特長という。地震などの災害時、燃料を人の力で供給すれば、電力供給の大半の復旧が見込まれる七十二時間は出力を維持することが可能という。
発電機能と燃料が一体のタイプ(出力四・四キロワット)の基本サイズは高さ二メートル、幅八十センチ、奥行き八十センチ、別々のタイプ(同七百ワット)は高さ一メートル、幅六十センチ、奥行き四十センチ。
ブラザーは一三年に、機械部品メーカーで小型の非常用燃料電池を研究・開発していたニッセイ(愛知県安城市)を子会社化。同社の研究やノウハウを引き継ぎ、開発に着手した。一六年から岐阜県のベンチャー企業とも協業している。
性能に加え、従来型の軽油を使うディーゼル発電機のように発電時に二酸化炭素(CO2)を発生しないため、導入企業が環境への配慮をPRできる利点もある。小池社長は「電力が落ちた途端に動き、復旧まで長時間を稼げる。突然電源を失っては困る機器のバックアップ装置として利用が見込まれる」と話す。
市場調査会社の富士経済(東京)によると、国内の水素燃料関連の市場は、一五年度は百八十四億円。国内では、温室効果ガスの削減目標を達成したりするために水素燃料の利用は拡大する見通し。三〇年度の市場規模は一五年度と比べ三十二倍の五千九百三億円になると予測されている。
アールエイチ産業医事務所
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